事業本部長のブログ 「トムブログ」
社会福祉専門職のストレスについて(その1)
2014-08-23
カテゴリ:トムブログ
ストレス内容の分析をすると
上司との葛藤,同僚との葛藤,利用者(保護者)との葛藤,介護的仕事の負荷,事務的仕事の負荷という5つの因子を挙げている研究が多い。私はここに自分の能力との葛藤もストレスの一つに上げる必要があると考えています。
① 福祉現場では、具体的事柄がストレスに繋がる
・ 連携の不備(人間関係が悪くコミュニケーションがとり難い。)人材不足から負担が多くなり気持ちに余裕がないことも要因の一つ
・ 業務(ルーティン、支援)に適切な助言がないこと
・ 業務バランスが崩れている(サービス残業が常態化している等)
* 福祉現場の人間関係は思いのほか良くなく、コミュケーションスキルを求められる専門職が案外職場の人間関係につまずいているケースが多い。思いを受け止めることも発信・表現することもプロであるべきコミュニケーションの専門職として、恥ずかしいことだと考えています。何より利用者支援に支障を来しては困ります。(職場の人間関係ぐらいうまくやって欲しいし、何も大親友や恋人関係までの人間関係を求めているわけではなく、利用者支援に支障ない範囲の人間関係くらい構築できない訳ないだろう。というのが管理者の本音だと思います。)
② 連携の悪さが利用者支援の質を低下させる
情報の共有が不十分であれば、支援の質は確実に低下する。我々の仕事はチームで行うもの、利用者支援において、一人の支援者が自己完結できる業務はないはず。
* 情報が共有できるシステムを構築する作業をスタッフで考え工夫することは業務の分析にも繋がり、スタッフ個々の仕事を検証することにも繋がる。また、組織の課題も浮き彫りになる。
③ 人材不足(欠員)は更なる離職者を生む
人材の不足はスタッフの業務過多と不満を生みだします。また、人間関係の悪化を複数の離職の原因となります。この件は一重に管理者の責任と手腕が問われるところです。速やかな人材補充は働くスタッフへの良い影響を及ぼし、法人に対する信頼感を育みます。そしてその後の組織愛にも繋がります。
また、離職者を多く出す部署には何か原因があり、その分析と対策も管理者の能力と責任が問われるものです。(頭の痛い問題です)
④ 業務(ルーティン、支援)に適切な助言がない
福祉現場の中でスタッフの育成に欠かせないものにスーパービジョンの機能があります。スーパーバイザーがいないとスタッフは日常的に迷いや不安を持続させます。いらない緊張感は多くのストレスを生み出し、福祉専門職として育つ要素の大部分は有能なスーパーバイザーの存在が占めます。
⑤ 業務バランスが崩れている(サービス残業が常態化している等)
仕事量のバランスが初めから残業をしなければならないのに、残業命令を出さずサービス残業になっている。そもそも残業は上司からの命令で行われるもので、個人の判断で実施するものではありません。残業をしなければ必要な業務ができないなら固定残業(毎月の残業を予め実態をつかみ、一定時間の残業を給与に上乗せしておくもの)や毎日、残業命令を出してもらい、申請を行うべきです。
特に個別支援計画やモニタリング、残すべきエピソードを記すケース記録を記入、作成する時間は通常、利用者支援の合間にし難い業務です。しかし、利用者にとってもスタッフにとっても、事業所にとっても重要な業務であることは間違いありません。記録や計画作成する時間を生み出すのは至難の業と言えます。
社会福祉現場スタッフのストレス その2に続く